風になれ
もっしゃもっしゃと
山のようなフレンチトーストにがっつく
私にママは呆れ顔。

「…で?
 今日も応援行かないほうがいいのね?」

少しさみしそうにママがきいてきた。

「…うん、お願い。
 家族には県大で見てもらいたいから」

自分のプレイに自信がもてない私は
これまで一度たりとも
家族にテニス姿を見せたことがない。
道具とかを揃えてもらってる分
本当に申し訳ないんだけど…

「大丈夫よ、わかってる。
 野風は今日勝つんだもんね?
 ほら、早く支度しなきゃ間に合わない!
 優子ちゃんと頑張ってらっしゃい」
「わわわ、もうこんな時間!
 ありがとうママ、頑張ってくる!」

時計を見たらちょっとまずい時間。
ママの優しい言葉に感謝しつつ
残りのフレンチトーストを丸呑みして
急いで支度をして家を出た。
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