風になれ
「何回も言うようで悪いけど野風」

ちょうど信号で止まって
優子が私を見つめてきた。

「楽しもうね。
 ウチらのテニスを」

楽しむ。
それが1番大事。
悔しいんじゃない
恐れるんじゃない
私たちだけの最高のプレイを。

「当然」

信号が青になって私たちは
再び走り出した。
会場となる公園はもう目の前だ。
< 134 / 168 >

この作品をシェア

pagetop