風になれ
と言ってもそれが出来るのは
前線で見ていた私だけ。
私の役目は出来る限りその球を取って
アタックすることと
狙われる方向を早く優子に伝えること。

「野風、ナイスボレー!」

みんなからの声に笑顔を向ける。
でも、まだまだ始まったばっかり。
油断は禁物。
それでも先制点は相手にとって
痛手だったみたいで
昨日よりも相手が少し堅い。

「やられました」

苦笑いで霧ヶ窪さんが声をかけてきた。

「ここでボレーが出るなんて。
 昨日とはなんだか違いますね。
 瀧さん…でしたよね?
 警戒させてもらいます」

面と向かってそんなことを言われたのは
初めてだったので私は一瞬たじろいた。
けどね。
こっちも負けられないからさ!
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