風になれ
今まで聞いたことのないくらいの
大きな大きな歓声と拍手。

ずっと自分は
発する方だと思っていたのに
受ける側になってしまって
びっくりしすぎて涙も出ない。
横の優子は号泣しているのに。

「やったな、ふたりとも!!!」

徳元が駆け寄ってきた。
彼女が言うとおり本当にずっと
私たちを見てきてくれた徳元。
そんな彼女には言い切れないくらいの
感謝の気持ちがあるけれど
泣いて言葉を発せられない優子の分も
私が話をしなければならないから
次の試合もあるし、
とりあえず私たちはコートの外に出た。

後輩も同級生も大地くんも笑顔。
よかったと思ったら
大地くんに抱きしめられた。
< 154 / 168 >

この作品をシェア

pagetop