風になれ
…時は流れて、部活。

私は優子と伊久ちゃんと
ボールに空気を入れていた。
大地くんからの視線がしばしば
隣のコートから感じられる。

「あーっ瀧さんだぁ」

センパイのひとりが声を上げた。
あのひと…確か朝いたな。

「え?学校来てんの?」

もうひとり、朝いたセンパイが言った。

「いつ来たんだろー」「遅刻じゃね」

からからと笑い声がきこえてきた。
そのままラケットと自前のボールを持って
私達に近寄ってきた。

相手は2人しかいないし、
こっちには3人いるんだけど、
優子も伊久ちゃんも俯いてしまって
心細くなった。

「瀧さんさ、昨日のコト覚えてる?」

片方が切り出した。
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