風になれ
震える声で、2人はそう言った。
小さい、けどはっきりした声で。

今まで私が庇われたことなんて
なかったからセンパイ達も驚いたらしい。

「はあ?むかつく。もういい、いこ」「うん」

そう言うと早々とコートに向かっていった。

私は突然のことにびっくりしていたけど
じきに優子が口を開いた。

「ごめん、今まで怖くて…けど…」

??

「長野さんは悔しかったんだ。
 …五十嵐くんが先に野風ちゃんを守って」

え?大地くん?

いきなり大地くんの名を出されて戸惑う私に
お構いなく伊久ちゃんは続ける。

「長野さんは野風ちゃんのこと
 友達以上に大切だから悔しかったんだよ」

え。

優子を見ると顔が真っ赤になっていた。

「ありがとう」

涙が出そうになるのを堪えて私は笑った。
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