風になれ
あーあ。
もうみんな、騙されちゃって。
おい顧問!
あんただって陰で悪口
め~っちゃ言われてたんだぞ!!

誰にも伝わらない声で
思いっきり叫んでやった。

顧問の言葉に応える様にみんなが
のろのろと待っているバスへ向かう。
私もその列に加わろうとした。

と、その時。

副部長を含めた数名が私を取り囲んだ。
え、ここにきてまで?

しかし副部長達は
私の思いもしない行動に出た。

「ほんとに、ごめん!」

口を揃えてそう言って頭を下げたのだ。

「特に理由はなかったんだ。
 楽しそうにテニスをやってる瀧さんが
 憎らしく思えて…ごめん」

彼女達が頭を上げる気配はない。
< 24 / 168 >

この作品をシェア

pagetop