風になれ
「え、テニスやりたいやりたい!
 昼休みね、りょーかいです」

次の休み時間、南のクラスに行くと
思っていた以上に
やる気満々な返事が返ってきた。

「よぉ~しっやる気超出てきたっ」

隣では燃え散るのではないかというくらい
燃えまくっている伊久ちゃんが。

「それにしてもなんで
 そんないきなりやる気なの?」

半ば呆れ顔で優子が聞いた。
それに呆れ顔で返答した
伊久ちゃんの回答は

「だってべんきょー嫌じゃん。」

きっぱりそれだった。

「息抜きって大切よ~♪」

おほほほと笑いながら廊下をスキップ。

「…なんかキャラかわってない?」

今まで見たことのなかった
伊久ちゃんの知られざる一面に
私と優子はちょっとため息をついた。
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