風になれ
え?

「どうしたの、早く行こーよ」

不思議そうにラケットをぶんぶん振る。
いやいや。
不思議なのは私の方でして。

「優子、掃除は?」

うん、言葉どおり掃除やってないし。
あと帰りの会も。
アナタ、いくら成績優秀でも
サボりはいけないことだと思いますけども?

でも優子は動じることなく、
むしろ低く笑って私の手にラケットを
無理矢理ねじこませた。

「今日は掃除ないよ?
 ついでに帰りの会も…きいてなかった?」

畜生。
そうだったのか。

ややどや顔気味の優子に一本取られた私は
恥ずかしさを紛らわす様に
大股で教室を後にした。
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