風になれ
「待ってよ~」

後ろから息も絶え絶えに優子の声。
可哀想になり、ぴたりと立ち止まる。

「はぁっはぁっ…野風歩くの速いよ。
 …んあ、他のみんなは遅れるって。
 今日、委員会らしいよ」

なんという情報収集力。
ついさっきまで私と一緒にいたのに。

ちなみに今優子が言ったとおり
伊久ちゃんを含め、
私と優子以外は女テニ2年生メンバーの
全員が委員会に入っている。
私も入んなきゃな~とか思うけど
どうもそういうタチじゃないもんで。

「…てことは、今日は前半貸し切り!?」

優子の言葉の意味を知り、
私は心躍って思わず満面の笑みで叫んだ。

「そう!
 ね、早く行かなくちゃいけないね」

優子も満面の笑みで私に向かって頷いた。
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