風になれ
テニスコートにつくと
男子はもう部活を始めていた。
その中にはもちろん、彼の姿も。

「あーっ今、かっこいいって思ったでしょ」

大地くんがスマッシュを決めたのを
私ががっつり見ていたことに
優子は目ざとく気づいたらしい。
私は顔を赤らめた。

「っ…思ってないし」
「ハイハイ、いいのいいの。
 悪くないから、ね、バカップルさん?」

間髪入れない優子の言葉に
またまた歩みを速める。

「あぁもう、ごめんって!」

まったくもう、子供だなぁという
ぼやきをきいた私はもう止まらずに
大地くんの隣のコートに向かって直進した。
< 34 / 168 >

この作品をシェア

pagetop