風になれ
「有島!なんだ今の声は」

すかさず徳元の注意がとぶ。
いつもは反抗しているキヨちゃんも
さすがに失礼だと思ったらしく
素直に謝ると
居心地が悪いのか頬杖をついて
そっぽを向いてしまった。

「コホン」

わざとらしい咳をしてから徳元顧問は
その、広内先生の紹介にまわり始めた。

「えー広内先生は東新谷中からきたんだ。
 東新谷といえばわかるだろう?
 あの、県大会進出常連の強豪中学だ。
 広内先生はそこでも
 女子テニスの顧問を務めていて
 先生が来てから女子が強くなったと
 教員の間では有名なんだ。
 そんな立派な先生が来てくれたんだから
 今まで以上にみんなで頑張ろう。
 以上、解散!」

徳元は上手くまとめたらしかった。
けど

「ちょっと待って」

そのまとめは広内先生によって
あっけなくずたぼろにされてしまった。
< 39 / 168 >

この作品をシェア

pagetop