風になれ

追求指示

まぁその流れでテニスコート、いま。
いつのまに着替えたのか広内先生は
ジャージ姿でラケットを手にしていた。

「まず、みんなの癖を知りたい。
 それぞれペアを組んでいるだろうけど
ペア以外と乱打をしてもらおう。
 順番に見ていくからいつもどおり打って」

その言葉にみんながしぶしぶ動き出す。
なんでペアじゃないのかな。
慣れてない相手の方が癖出やすいのかな


「じゃ、タッキーやろーよ!」

キヨちゃんに声をかけられた。
数名にしか呼ばれない未だに慣れないあだ名。
うん、と答えて私たちはコートに入った。
キヨちゃんの合図で私は構える。

ぱこんっ

さすがキヨちゃん、なかなか速い球。
少しスライスまじりの自慢のバックで
それを打ち返す。

「ナイスボール」

キヨちゃんがそう言いながらまた速い球を打ってきた。
…ここは返さないとねっ!!

そう思った私はどっしり構えて
ありったけの力を込めてコースを狙った。
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