風になれ
「ねぇ、何を隠してるの?
 南は…そんな人間じゃないじゃん」
「野風ちゃん…」

動揺したのか
南はまた目を泳がせる。
ふと伊久ちゃんを見ると
悲しそうな目をしていた。

「やっぱり嘘。
 みーちゃん、伊久じゃ頼りないの?
 本当のこと言ってほしいよ。
 これでも伊久、
 みーちゃんのペアなんだよ」

その言葉をきっかけに
南は肩を震わせた。

「違うの…ごめん。
 伊久は悪くないの。
 ちゃんと話すから…ごめん。
 昼休み、テニスコート来てくれる?
 出来れば野風ちゃんも」

その瞬間チャイムが鳴って
私達は解散したけど
私はそれ以降の授業を
集中して受けることができなかった。
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