風になれ

崩壊事実

昼休み。

私が伊久ちゃんと共に
テニスコートに行くと
南はすでにいて、コート近くの
ベンチで俯いていた。

「南!」

呼びかけると立ち上がって
私と伊久ちゃんに1枚の紙を
よこしてきた。

「読んで」

相場のない素っ気ない声。
いつもの南とは違いすぎて
びっくりしながらも
私達はその紙に目を通した。

通していくうちに理解する。
だから南は、言いたくなかったんだ。

「テニス肘なの」

今にも泣きそうな声だった。
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