風になれ
「自分のしたこと
 努力したことは誇れるし
 後悔はしてない。
 それに
 伊久とペアが組めたことは
 私の一生の宝物で自慢だよ。
 伊久には本当に
 謝っても謝りきれないけど
 私の気持ちは
 わかっていてほしいの」

それから南は
私が今まで見たことないくらい
美しい笑顔で言った。

「伊久、野風。
 今まで本当にありがとう」

その瞬間風が吹いた。
柔らかいけど暖かい、
心地の良い風。
新しい一歩を後押ししてくれそうな
その風を
私はきっと生涯忘れない。
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