風になれ
「私はね」

優子が話さないことを確認して
私は話し始めた。

「最初はいやだった。
 優子が遠くに行っちゃう気がしたし
 なにより一緒にやってきたのに
 どうして優子だけって悔しかった。
 ほんとは喜ぶべきことなのに
 私は素直に喜べなかった。
 ごめんなさい」
「わかってたよ」

え?

「え?」

思わず口からそのまま声が出た。
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