いつメン
「行ってらっしゃい」
俺は走って走って走った。雅の家に向かって。
――ドンッドンッ
「誰ッスか?」
「俺や俺!!」
「空?」
雅は一瞬ビックリしたがすぐに微笑んで俺を部屋に入れてくれた。
「どうしたんだよ」
「ヤマトの事でさ…」
「ん」
そう返事した雅は俺に苺ミルクを差し出した。
「あんがと…」
「で、話聞かせろよ」
俺は深呼吸して雅に話した。
「俺さ…ヤマトに行くのが不安なんだよ…けど雅たちが居るなら行きたいと思った…でも俺には行方不明になった兄貴がいるからさ…」
雅は黙って真剣に俺の話を聞いていた。
「どっちを取るか悩んどるんや…」
「簡単な話だろ」
「え…?」
「兄貴を捜して見つかったらヤマトに来いよ」
「でも…」
「お前がネガティブになってどうすんだよ。らしくねぇな。俺はお前がいなくたってどうにかできる。けど兄貴はいつ現れるかわからねぇ…」
「けど…」
「もしお前が俺らとヤマトに行ってる時に兄貴が家に来たらどうする!またいなくなるかも知れねぇんだぞ!?」
「っ!?」
雅は俺の肩を掴んでうつむき、俺に言った。
「俺らはいつでも会える。けど兄貴は会えるかもわからねぇ…」
「けどお前らだって戦うんだ!!いつ死んだりするかわかんねぇんだ!」
「俺らを信じろよ…俺らいつメンで親友だろ?」
「あ…せやな…」