王子な彼の恋は盲目
思わず飛び蹴りしてしまったが、正直まだ状況の把握ができていない。
「う…」
「あ、だ、大丈夫…!?」
「ああ…いい蹴りだったよ」
凄く笑顔で言う橘に私は一歩後ずさった。
「ふう…ところで秋山さん、この蹴りは喜んで、と受け取っていいのかな?」
「意味わかんねーよ何でそうなるの!?」
ゆっくり立ち上がった橘は手を広げながらキラキラ王子様オーラを放出している。
だが激しく使い時を間違っている気がする。
「いや私アンタと付き合わないから」
「なんだい、照れなくてもいいさ。明日は君の家まで車で迎えに行くよ」
チュッ
ニコッと笑った橘は、私の手の甲にキスをして去っていった。
私は口をあんぐり開けて奴の後ろ姿を呆然と見つめる。
「…あ、体操服持っていかれた…!!」
畜生アイツ明日会ったらぶん殴ってやる…!