王子な彼の恋は盲目
Chapter 01 -告白-
昼休みの教室はガヤガヤと騒がしい
何故なら“王子”がこのクラスだから
この2-Aにアイツが居る限り、先輩も後輩も集まってくる。
「ほら有希、パン買いに行くんでしょ」
「あ、待って待って!」
「置いていくわよ」
私と美奈ちゃんはこのクラスでは孤立している。
理由は勿論、彼に媚びないからだ。
美奈ちゃんには他校に婚約者(17歳で婚約者って凄い)が居るし、私はアイツよりスーパーの安売りチラシに夢中だ。
どこの学校でも一緒で、群れたがる女子はすぐに陰口を叩く。
「篠原さんも何であんなのと…」
「貧乏人に昼食を奢るなんて…」
あんなのって何よ
…あームカつく
言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに
私は怒りを抑えられず、
彼女たちの前に立った。
「ねぇアンタらさぁ、」
「有希!…行くわよ」
「…わかった」
野蛮だなんだと口々に言う女の子の刺々しい視線と共に、何故だが王子が私を見ていたような気がした。