sea...
また、約束の時間になっても来ないよ・・。
意外と時間にルーズなんだな・・・。

「ごめん。」

「ううん、平気。」

「あのさ・・・。」

私は、この後、瞬の衝撃の出来事を聞くことになる。
瞬は、小さいころ、友人の借金の保証人になった父が死に、母親と二人で様々な場所を歩き回ったこと。
公園で野宿したこともある。
でも、母親を愛していたこと。
でも、6年前、瞬を残して死んでいったこと。
そして、唯一残っていた伯父に引き取られたこと。
あまりにも悲しそうに話すので、私は聞きながら泣いてしまった。

「引いただろ?卓斗に美樹チャンが俺のこと好いてるって聞いたけど、みんな、この話をしたら去っていっちまうんだ。仕方ないよな。俺は、こういうことを受け入れてくれる人と付き合いたいと思ってる。だから、美樹ちゃんも・・・俺はやめときな。」

「なんで?そんなことで、去っていっちゃうような人たちって絶対瞬のこと好きじゃない!本気で瞬を愛してる人なら、そんなの何も気にならないはずだよ!関係ないよ!瞬は瞬じゃない!」

瞬が泣いていた。ただ、静かに涙を流していた。

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