あなたに逢いたくて
「またエッチな事いっぱいしようね」
「うん、楽しみにしています。
でも今日はダメだからね」
「分かってるよ。
僕は海遊館は初めてなんだ。だからとても楽しみだな」
「そうなんだ、さっちゃんはもう三回は行ってるよ」
「そりゃ地元だからね。案内よろしくお願いします」
「了解しました」
そんな会話をしている内に、南港行きのバスがやって来た。
二人はバスの最後部の座席に仲良く座り、そっと手を握りしめた。
バスは大阪難波の繁華街を抜け、30分程で目的地の海遊館前に着いた。
南港に着いても五月の雨は止む気配はなく、幸子と康博の二人を優しく包み込んでいた。
康博にとって初めての海遊館はとても新鮮に感じられた。
巨大な水槽をジンベイ鮫が悠然と泳いでいた。
ペンギンやイルカたちも元気に泳ぎ、時には跳びはねている光景が康博の心を少年のようにさせた。
(つづく…)