神の承諾~純愛~
死後
泉千尋 転落死から数日が経過していた。

他殺の可能性は極めて低く、遺書も見つかっていないし、服装などからしても自殺の可能性は薄い。警察は、事故死として調査の方針を固めているらしいが。

俺にとっては、泉千尋がこの世からいなくなった事がよほどショックだったらしい。食欲も湧かないどころか何もやる気にならなかった。


友人たちも俺が泉千尋の大ファンだった事を知っていてか。
あえてその話題に触れたり、茶化したりしなかった。


世界が止まっていた。


さらに二週間が過ぎ、千尋さんの献花式が行われた。

東京での事だった。

関西圏に住んでいる自分には遠すぎる献花式だった。

葬儀も密葬で行われ、静かに時は過ぎていった。

俺はというと、時間が止まったままだった。
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