キミの手の奥の僕



振り向くとクリームブラウンの髪を揺らしながら、こちらを向いて笑う未玖くんがいた。




右隣が、まさかの未玖くん。




これは、ある意味運命的かも。




「ねね、名前なんて言うの?」




未玖くんはにこっと可愛らしい笑みを浮かべ、小首を傾げながら聞いてきた。




だから私も笑い返して「藤井香世だよ」と応えた。





「へぇー、可愛い名前だねっ!」





白い歯並びの良い歯を見せて、彼は柔らかな表情で笑った。




可愛いといわれて恥ずかしくなり顔を伏せながら「ありがとう」と言う。






すると、大きな音を立てて入ってきた男の人は未玖くんよりも更に服を着崩し眉を眉間に寄せていた。




誰もが驚いた顔で見つめる。





その男の人の髪は肩に少し届く程度で茶色に近い黒色、耳には小さく光る銀色のピアスをつけていた。





これを格好いいと言わず、誰を格好いいというのだ。





と言わせる程の超美男。





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