キミの手の奥の僕
No.2
「桜、散ってるね」
そう私が口にだすと、沙和は伏せていた顔を上げて言った。
「私もいつか、桜みたいに散るのかな?」
ぼんやりと微かに目を潤ませた沙和は儚い笑みを浮かべた。
大丈夫だよ。
って…言える自信なんて私には無かった。
切なく笑った沙和をどうにかできる程私には力なんてない。
だけど、祈った。
蒼く澄んだ空に向かって。
瞼を閉じ、沙和の願いがどうか彼に届くように…と。
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No.2