キミの手の奥の僕
柔らかい少し暖かい風がほほを撫でていく。
私は瞼を閉じ、少しの間その感覚に触れた。
ゆっくりと目を開けると、そこはさっきまでの景色。
沙和と晴と未玖。
三人の姿がくっきりと瞳に映る。
「沙和達はどこ行く予定だったんだ?」
「えっとね、雑貨店とか服見て回ったりとか」
晴の問いに沙和が答える。
私と未玖はその様子を後ろから笑ってみていた。
「じゃあ、そこに行くか」
「え、でも晴達も行きたいとこあるでしょ?」
「いーの、いーの。レディーファーストっしょ。買い物は男は脇役、荷物持ちにでもしてください」
風に茶色の髪を揺らして、晴は笑った。