キミの手の奥の僕
少し歩いてからすぐに私たちの行く予定だった雑貨店に着いた。
そこは、女物限定で揃えてある雑貨店で、晴は顔を歪めてぽつりと呟く。
「…マジで?」
「マジで、ほら入って入って」
沙和はニコニコと笑って晴の腕を掴むと、嫌がる晴を店のなかに連れて入った。
「やっぱり、未玖もこういう店は嫌?」
そう聞いた私に少し驚いたような顔をした後、笑って「どーだろ」と答えた。
その曖昧な答えに首を傾げると、店の扉が開き沙和が顔を出した。
「二人とも、入らないの?」
「ううん、今行く」
沙和の問いに未玖が答える。
未玖の答えに沙和は笑ってまた店の中へと戻って行った。
チラッと未玖の方を向くと、こちらに目をやった未玖の視線と重なった。
それに動揺してしまった私は急いで未玖から視線を逸す。
その姿に未玖は、吹き出しながら笑うと
「じゃあ、入ろっか」
と、私の手を引いた。