キミの手の奥の僕
店に入ると、花の香りが店内に漂っていた。
沙和は私の手を引っ張って、良い物を見つけたと笑った。
「どれ?」
沙和の止まった所はちっちゃなキーホルダーが並ぶ場所。
「これ」
手にとって私に見せてくれたそれは、可愛いうさぎのマスコットが付いたキーホルダー。
照れたようにはにかんで私の耳に手を当て、こっそりと晴たちに聞こえないように囁いた。
「これね、晴に似合うと思うの…。晴ってなんかうさぎっぽいし…」
ぷっ、確かに。
「これ…お揃いで晴につけて欲しい…な。なんて、ね」
そういうと、赤くなった顔を隠すように伏せるとうさぎのキーホルダーを置いた。
そんな沙和を見ているとなんだか嬉しくなって、私はさっきのと同じうさぎを持って二つを沙和へと差し出した。
吃驚している沙和に笑う。
なんだ、すっごいいいアイデアじゃない。
「いいじゃん!これとこれ、買っちゃいなよ」
「え、でも!分かる…くない?私の気持ち…」
でもさ
「好きなら、好きでいいと思うよ。いつかは伝えるんでしょ?」