キミの手の奥の僕
多分このままだと後6分はかかる。
「まあ、頑張るっす」
適当に笑ってそう返すと、沙和は呆れたように笑った。
そして最後に「待ってる」と言って電話は切れた。
ポケットに携帯を突っ込み両方のハンドルバーを握り締めて、私はぐっとペダルを漕いだ。
私が、学校に着いたのは丁度入学式が終わった後だった。
きっとあそこでお婆ちゃんと遭遇しなければ間に合っていたはず…。
でも、やっぱり困っている人をほっとけなかった。
仕かた無い…と思うしかない。