キミの手の奥の僕
イントロが始まり画面に歌詞が表示された。
次だ…このテンポの次が歌い初めだ…。
緊張と羞恥でマイクを握る手が震える。
今だ!
あ だよ、私 あ!
「あ!…」
いつの間にか声に出していたけれど、それはとっても歌にふさわしくない声で。
というか…歌として出した声ではない…。
だけど止めるタイミングを見逃し音やテンポが外れたまま歌うしかない。
恥ずかしい、恥ずかしい!
隠れたい…。
恥ずかしさで顔は絶対赤くなってるし、涙でるよ…。
つい声が震えてしまった瞬間晴がマイクを手に取ると歌い出した。
驚く私に、晴の目が合うと意地悪っぽい顔で笑う。