キミの手の奥の僕
どんどん流れていく曲に、私は歌詞を目で追ってついてくのが精一杯だったけれど。
晴は私を助けるようにテンポを合わせて歌ってくれる。
澄んだ声で、綺麗な音色で。
私は歌い終わった後は脱力感でいっぱいで、そのままソファーに座り込んだ。
「はい、飲む?」
「あ、ありがとー」
未玖が渡してくれたウーロン茶を一口のんで、まだ歌い続けている晴をみる。
「晴って、歌うまいよね…。ほんと助かった」
「晴はミュージシャン目指してるんだよ。たまに野外ライブやってる」
「え!」
にこにこと笑っていう未玖。
晴の夢、ミュージシャンなんだ。
すごいなあ、夢があって。
夢に向かって、努力してて。