キミの手の奥の僕
No.3
それから、1時間ほどして私たちは、暗くなった街へと出た。
「うっわ~くっら」
「当たり前じゃん、もう8時だし」
「僕らはだいじょうぶだけど、沙和たちは大丈夫?怒られない?」
心配そうにいう未玖。
「大丈夫!こんくらいなら怒られないと思うよ、多分。」
沙和はにかっと笑って「ね」と私に言った。
「うん、大丈夫」
私もそういって笑うと、そっかと未玖も笑った。
「そういやさ、香世と沙和ってどっち方面?俺と未玖は河川敷の方なんだけど」
河川敷の方なら沙和もだ。
あちゃー、私だけ違うや。
「わたしも河川敷のほうなんだけど…。香世は駅方面なの」
沙和がそういって困ったように私をみた。
「あ、大丈夫大丈夫。明るいし。」
「でも、危ないから。」
「心配ないって、じゃあ皆また学校でね」