キミの手の奥の僕
「おじさん…ききたいことがあるんだよ」
だんだんと体を密着させてくる。
「ちょ、ちょっ」
離れようとするけど、腰の手が邪魔をして逃げられない。
だ、だれかぁ…。
あのとき誰かと一緒に帰ってれば良かった…。
後悔から涙がでそうになる。
「おーじさん」
そのこえが聞こえ、私を掴んでいた手が離れた。
「何やってんの、変態じじい」
「いてててて、ちょっとまっ」
漏れてる灯から見えた顔。
私はびっくりして声を失った。
ぐいっと手首をねじ曲げて、「やめてくれ」とおじさんが叫ぶと手をはなした。
「なにしようとしやがったんだ、場合によっては警察突き出す。」
「酔って道がわからなくなったから、訊こうと思っただけだよ…。」
手首をさすりながら、力無くいうと「すまなかった」と呟いた。