キミの手の奥の僕
「道聞くのに、そんな体密着させますか?それと、謝るならちゃんと彼女に謝って」
そう彼がいうとおじさんは私をみて「申しわけない」と頭を下げた。
驚き過ぎて声がでない私はただうなずくだけ。
「…ゆるしてもだいじょうぶ?」
その問いかけにも、頷いて答える。
私のあたまに彼の手のひらが乗ってくしゃくしゃとされる。
心配そうに笑った彼の顔が今でも忘れられない。
「彼女が許すって言ってる。だから、はやくどっかいって。」
分かった、と呟いてからよろよろとあるきだしたおじさんに向かって、
「他のひとに頼らず、自分の力で帰ってくださいね。そもそもの責任はあなたにあるんだから」
そういうと「行こう」と私の手を引いた。
ばくばく。
と心臓がなる。
こわかった、きもちわるかった、驚いた。
どきどき。
と心臓がなる。
なんで、どうして?
顔も体もほってっていうこときかない。