キミの手の奥の僕
「沙和に?」
「うん」
だから…晴が。
だけどすぐにはっとした。
沙和はきっと行かせたくなんてなかった。
だけど…私のせいで…。
「は、はる。」
俯いて、出来るだけ顔を合わせないように晴の名前を呼ぶ。
「なに?どうした?」
晴の声が間近で聞こえる。
その声にやっぱりどうしても、心臓が痛む。
きゅっとぎゅうぅっと。
痛んでいく。
「本当に家までもうすこしだから、ここからなら帰れるから。」
早く帰って、晴。