キミの手の奥の僕
晴は呆れたようにふっと息を漏らして、私の手を握り締めた。
「ちょっと、なにするの!」
急な行動にびくつく体。
じわじわと繋がれた手に熱が集まる。
「帰るなら、一緒。じゃなきゃ、ここまで来た意味ないだろ?」
優しい笑みで、ゆっくりと私の手を引いた。
後ろから見る晴はやっぱり、妙に大人っぽくて。
本当に同い年にはみえないぐらい。
今まで感じたことのない気持ちが、うずうずと疼いて湧いて苦しい。
この感情は絶対に抱いちゃだめなのに。
沙和を裏切るのに。
どうしても、消えそうにない。
どうしたらいいの?
どうすれば、いいのだろう?
私は家に着くまでの間ずっと、そればかり考えてた。