キミの手の奥の僕
家に帰って一段落していると、携帯のバイブがなった。
数時間ぶりに開いた携帯には10通程のメールと、数回の電話。
開いてみるとほとんどは、沙和からだった。
『 香世、大丈夫? 』
『 晴、行った? 』
『 なんでメール返してくれないの? 』
そのメールを見て硬直するように手を止めた。
そして震える手で沙和のアドレスから通話ボタンを押す。
大丈夫、なにもやましいことはしてない。
疑われるような事はしてない。
私にそんな気持ちは…ない。
耳に携帯を当ててすぐに、沙和の声が聞こえた。