キミの手の奥の僕
『晴、私から香世の家聞いたって言ってたでしょ?』
「…うん」
『…香世、私。メールで香世を疑っちゃった。』
沙和はひと呼吸おいて続けた。
『香世からメールが来なかったとき、晴と香世がもしかしたら…って。そう、思っちゃったの。…友達として絶対に疑っちゃいけなかったのに。』
最低なの。
そこまでいうと、沙和はごめんと私に言った。
何もいえない。
私は沙和を、責められない。
それは、私も疑ったから。
だけじゃなくて…、ほんの少しでも、いや…。
まだ胸疼く今でさえ、沙和を。
裏切っているから。