キミの手の奥の僕
私の言葉に笑顔を無くして、俯きながら手を離した。
「…佳世にも幸せになる権利はあるんだよ?」
未玖が呟いた言葉を後に私は学校をでた。
何も言い返せない。
私は未玖の気持ちを踏みにじったの。
帰り道ぽつっとアスファルトに涙が落ちた。
「うぅ…」
しゃがみこんで涙を一生懸命拭うけど、とめどなく溢れてしまう。
私は沙和を言い訳に、逃げてるだけなのかも知れない。
向き合うのがただ怖いんだ。
私はどうしたらいいのだろう。
沙和になんといえばいいのだろう。
だけど、もう逃げてばかりはいられない。
涙はまだとまらないけれど、立ち上がり前に歩いた。
立ち止まってはいられないの。
私はきちんと伝えなくてはいけないの。
家に向かう途中で、そう自分に言い聞かせた。