キミの手の奥の僕




自分の部屋で


沙和に明日直接伝えるようと決めた。



ベッドに倒れ込んで息を大きく吐いて深呼吸をする。



決めた途端、胸が痛んで苦しい。




これが罰なのか。


と自嘲する。



寝返りをうったとき、携帯が震えた。


誰からだろう。



開いた画面に映っていた名前を見て携帯を落とした。




それは晴からのもので


俺、何かした ?



その一言。



あれだけ晴を避ければ、当然気づくはずだけど。



晴は何もしてないし、何も悪くないのに。


こんな心配をさせてしまうなんて、申し訳ない。



…それでも、この胸のどきどきは。



彼からのメールで激しく鼓動を刻む心臓は。



なによりも正直に、私の感情を表す。



不覚にも思う、嬉しい気持ち。



拾いあげた携帯を手に震える指で文字をうった。



晴は、好きな人いる?




画面越しにみる言葉に、はっとしてすべて消す。


何をしてるのよ、私…。




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