キミの手の奥の僕


私は晴と友達でいたい?


私は晴とどうなりたい?



晴が顔をあげると私と視線が交わる。


少し揺れる瞳。


きれいな顔を歪めて、私をしっかりと見ていた。




「…私も晴と友達でいたい。避けてるつもりはなかったの。本当に…ごめんなさい。」



口から出たのは、思ってもない事と嘘。



もう、あとには引き返せない。




「…良かったぁ。」


晴の苦しそうな顔から眉を垂らして優しく笑う顔を見て私も笑顔を作った。



これで、いいの。


もう、晴の気持ちは分かったから。




晴は私を友達としか思ってない。



「連れてきてごめんな、戻ろう。」



晴が立ち上がって私に手を差し出す。


迷い無く出された手は、私に晴との気持ちの距離を感じさせる。



「…うん」


晴の大きな手を握ると私の手は優しく包み込まれた。



にこっと微笑んで歩き出す。


後ろ姿を私は静かに見ているだけだった。





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