キミの手の奥の僕
後ろ姿なのでいまいち本物の彼かどうか分からないけど背丈は同じだ。
そして、青いブレザーの下から出る白いカッターはさっきの男の子と同じ格好。
1年生なのかな?
でも、考えてみればそうとしか考えられないな…。
「香世、どうした?」
沙和が聞いてくる。
私はこっそり机に座っている男の子を指差した。
「あの子、来るときに見た」
沙和は言われた通りの方向を見ると「あ」と声を漏らした。
そして、勢いよく私の方を向くと肩に手を置き
「あんた、いい思いしてんね?」
と言うと、また男の子の方を向いて言った。