キミの手の奥の僕
「確か、伊達未玖っていったけ?ここのお姉さま方から情報頂いたの。」
「ふーん、でもなんで先輩方は知っているの?」
私もつられて未玖くんの方を向く。
すると丁度彼がこちらを向いた。
目があった瞬間、未玖くんは私たちに向かって可愛く笑った。
そう、可愛く見えるような笑みで。
すぐに隣にいた男の人に話しかけられて私たちから目を逸したけど、顔は格好いいというより女の子のような可愛い顔だった。
色の白さと目の大きさ、パーツ全てが完璧でとても可愛い。
「あの笑顔に惹かれた知り合いの先輩に色々と教えてもらったの。彼、入学する前に何度学校に来てたんだって」
沙和は少しだけ興奮して、でもちゃんと冷静さも保ちながら言った。
私がまた「ふーん」と言うとそれに合わせたように1時間目のチャイムが鳴り始めた。
沙和はすぐ後ろの席へと座って、私もきちんと座り直す。
と、隣から視線を感じた。