恋の歌〜歌姫メモリー〜
「だって、瑞沢さんあんまり喋らないからわからないんだよね」
笑顔で言われた。
桜葉先輩がにっこり笑って言った。
あっ、伊月先輩ですよ。
……歌う?
今……ここで?
無理なんですけども。
どうしよう!
「アカペラじゃ歌いにくいよね。亜月、ピアノ頼んでいい?」
「ん?いいけど。
なに弾けばいいの?」
なにも弾かなくていいですよ!
歌いたくないから。
「瑞沢さん、得意な歌ってあるかな?」
得意な歌?
あるけど、歌いません。歌いたくないです。
絶対に嫌です!
「瑞沢さん……もしかして歌嫌い?」
黙っていた私の顔を伊月先輩が覗きこむ。
うわっ!
カッコいい!!
ドキドキが止まらないんですけど……。
なんなの……。