恋の歌〜歌姫メモリー〜
「き……嫌いじゃないですけど……。
歌いたくないんです。
てか、近いです!
伊月先輩!」
もの凄く近い!
伊月先輩の顔が私の顔とあと数センチってとこにあるんですけど!
「瑞沢さんソプラノ」
えっ?
ソプラノ?
パートのことですか?
なんでいきなり?
あれ?
歌うんじゃないの?
「喋ってくれたから。
声高いね」
えぇ!
なにそれ!
ただ喋れば良かったの?
「瑞沢さん?大丈夫?」
「えっ?あっ、はい!
大丈夫ですよ!」
「姫歌ちゃん、顔赤いけど熱でもあるの?」
横から亜月先輩が話しかけてきた。
「いえ。大丈夫です」
顔赤いんだ。
でもしかたなくない?
伊月先輩があんな至近距離で話しかけてきたんだから!
誰でも赤くなるよ!
「いーなぁ、あの子。
伊月にあんな近くで話しかけてもらえて。
私達には冷たいのに」
えっ?
伊月先輩って冷たくする人なの?
なんか凄く優しいような気がするんだけど。
なんで?