ウラコイ2 銀幕の旦那様



……言ってくれた。





女優にならなくて
いいと言ってくれた




「みちる。」


「あぁ…ぼーとしてた。準備しなきゃ…やばやば…」





きっと 引け目は
どう言ってくれたって

消えない…

翔太君が言ってくれたけど

























「―はいカットね!」












今日も撮影がはじまる

















海江田監督はカチンコをカンとならす




「神田君ーその感じの"藤堂"でよろしくね、めぐみさんはもうちょっと可愛くねー」


「はい…」



「気をつけます…。」


二人は 海江田監督の
方を見ながら返事をした





「疲れたなぁ…長回しだったし。槌谷…?」



千広先輩は 私が翔太君を
見ているのに気づいた



「……そんなに好きなのか?」



「あ…その、すいません…。」




謝るなと言われたのに
また謝ってしまった…




「…槌谷が惹かれるのも分かる気がするよ。俺でも一瞬見惚れそうだったよ…」



男だけどな…と笑った



「『くじら』を撮り終わったら、彼はもっと忙しくなる…、実の親父よりも凄い俳優になる。…まぁ憶測だけどな…」





「……そうだといいですね。」
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