ウラコイ2 銀幕の旦那様




「やっぱり嫌か、彼氏が上にいくのは…。」


「そうじゃないです、…すいません。ちょっとトイレ行ってきます」








スタジオを小走りで出た
翔太君の横を通り過ぎた




気づいてない…


衣装やメイク、
色んな人に囲まれて話してる






近くにいるけど遠い


触れるのに…







考えちゃいけない。
仕事に支障を出しちゃだめだ










ずっと考えて
押さえてきたのに…



あのくらいで揺らいじゃ…





さっきの 翔太君と
一条さんの風景がよぎる





「……しっかりしなきゃ」





「槌谷さん。」



「っ…、一条さん!お疲れさまです、すいません。」




一人言聞こえたかな…



すごく複雑な気分…
早くトイレから出よう





「槌谷さん。あたし神田さんが好きなの、神田さんを譲ってくれない…」



「……な、」






知ってるの?
付き合ってるの、何で



譲ってて…



「…神田さんだって昨日話したら言ってたの。……考えてみるって、ね。いいでしょ」



考えてみる?

昨日……






昨日…翔太くんは
寝たって言ってた…


あれは……嘘…?なの


嘘を…




無邪気にニコニコ笑っている



一条めぐみ




わたしの義理の妹



「…昨日会ったの、神田君に」


「会ったわ。…なぁにもしかして嘘つかれてたの?可哀想……」





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