ウラコイ2 銀幕の旦那様



「…つらいならおいで…」



「……」





つらい…?



みんなみんな、
ママもあの人ばっかり…



つらいのは彼女の方だ





一人でスタジオに戻って…
一人で考える…


わたしには彼がいる。




あたしにばっかり
みんながかまう…


それはわからないけど
わたしは簡単にその状況を
手に入れた訳じゃない


苦労して努力して…

やっと手に入れたの…



周りの人…、美帆…



そして翔太君…





ごめんね。一条さん…



「……」


私はきゅっと背中に手を回した

着物はさらさらしている




「ありがと。」



この人は渡したくないの…





一条さんに伝えたい…




けど…


「よしよし。…いい子いい子」




背中をさすりながら
優しい声が耳元で聞こえた





「…ずるい」



「何が…?」



とぼけたように
ふふっと翔太君は笑った
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