ウラコイ2 銀幕の旦那様
「一条さん…」
「…そんな露骨に喜んだ顔しないでよ恥ずかしっ」
「え…ははは。ちょっと嬉しくて……ありがとう」
一条さんは 顔を真っ赤にしながら言った
「あたしのことは好きに呼べばいいわ。めぐみだの何だの…」
「…めぐみさん……」
「…泣かないでよ。あたしが泣かしたみたいじゃない」
涙がにじんでいるのが分かった
「……うん」
“お姉さん”
恋人も友達もいる…
けどそう
呼んでくれる人はいない
家族…
ずっとわたしが欲しかった
もう取り戻せない繋がり
彼女が目の前に現れた時
わたしはずっとその事を考えていた
ずっと欲しかった繋がり
例え義理でも、
ずっと欲しかった。
〈美帆目線〉
「あら神田弟。」
「こんばんは、暇なんすか?相変わらず工藤さんと喧嘩しているんですか…」
神田弟は今日は珍しく
シャツに黒いズボンをきていた
ニコニコしながら聞いてきた
意地の悪い男だ…。
「うるさいわね。にしても…よく彼女連れて帰ってきたわね。駄々こねてみんな徹夜覚悟してたのよ」