ウラコイ2 銀幕の旦那様
喫煙所から離れたところに
わたしは走って行った
「待ってくださってありがとうございます、海江田監督、」
「構わないよ。彼は中に、」
海江田監督はにこりと笑った
「少し歩こうか…」
「はい…」
昼 彼に聞かれた質問…
―神田君の恋人なのかい?
わたしは…
答えにつまってしまった
結局は そうだと言ったようなものだ…
―すまないね 急に聞いて。
いいえ、…そのすいません、
私が何も答えられずにいた
監督は何も聞かず
にこりと私を送り出てくれた
ずっと 行き帰り
彼への返事を考えていた
「…ありがとうございました。」
「いやいや…、やっぱり律儀だねぇ。返事なんていらないのに…」
スタジオのあたりは静かで
昼の喧騒が全くない…
「でも話さなればいけないと思って…。なぜわかったのですか」
「なぜかな。雰囲気かな…他の人間と話す時は冷たい感じなんだけど、一瞬緩んで柔らかくなる。それがどこか、ずっと見てたら……君と話した後なんだとわかったんだ」
「…柔らかくなりますか?」
ふっと笑った気がした。
「他の人は気付いてないから分からないだろうけどね…。」